葬儀社比較の仕方
●葬儀社を比較する上で一番わかりやすいのは価格です。価格比較をする場合、同条件でないと意味がありません。
●複数の葬儀社から見積もりを取った場合、葬儀費用を7つに分解すると、より正確に比較できます。
●しかし、価格は一つの比較要素で、スタッフの質や設備など複数の要素で比較したほうが満足度は高まります。
●どんな要素を加味するのか、また要素間の優先順位を決めるのは、「どのような葬儀にしたいのか」ということによります。
ネット上では比較は簡単
インターネットの普及とそれにともない消費者行動のプロセスは大きく変わりつつあるとも言われています。それを説明するのに、アイシーズ(AISCEAS)という仮説も登場しています。Attention(注目) → Interest(興味) → Search(検索) → Comparison(比較) → Examination(検討) → Action(購買) → Share(共有)、というものです。
「比較」が簡単にできるということは、インターネット以前にはなかったことだと思います。
葬儀社比較の前に、条件を整理する
さて、これを葬儀社比較の場合に当てはめてみましょう。一番わかりやすいのは価格比較なので、これを例に話を進めてみます。
当たり前の話ですが、同じような条件でないと比較の意味がありません。日常生活ではそこまで細かく正確に比べなくてもいいのでは? と思われるような人でも、案外葬儀のことになると、全然違う条件で比べて、「この葬儀屋さんは安い、あっちは高い」と決めつけている場合もあります。
葬儀の場合で、条件は何かと言いますと、
場所(斎場の場所)
規模(どれくらいの会葬者が想定されるか)
内容(宗教やサービスの質など)
です。これを同じにした価格比較でないと意味がありません。想定する斎場が違ったり、人数が違ったりでは、正確に価格比較はできません。
葬儀費用を比較する
このようにして価格比較をしますが、当センターが価格比較をするのと同じように葬儀費用を7つにわけると、より正確に価格比較ができます。7つとは、
葬儀基本費用 (葬儀社の利益の源泉部分。下記2〜7以外のものはすべてこの中に含めて考えるとわかりやすい。祭壇 お棺 人件費など)
車両費用(病院から自宅までの搬送や、斎場から火葬場までの霊柩車やマイクロバス代など車両利用時にかかる費用)
火葬関係費用(火葬料など火葬場で発生する費用)
斎場費用(自宅葬でない場合、お通夜や告別式をするときの式場費)
返礼品費用(会葬品礼品、香典返し)
飲食費用(通夜振る舞い、精進落とし)
お布施(宗教者への謝礼)
です。複数の葬儀社から見積もりを取った場合、この7つに分解し、それぞれの項目を比較することで、より正確に葬儀社の価格体系がわかります。
また、式場を変える、人数を変える、仏式を無宗教葬に変える、といったときに、同じ社の費用でもどこが変わるかよくわかります。(さらに詳しい見比べ方については、「葬儀の見積もり」の項目で説明しています)
葬儀費用の比較だけでは十分ではない
条件を整理して、複数の葬儀社から見積もりをとることはネット上ではそれほど難しくないでしょう。それを上記のように葬儀費用を分解して比較をすることも、簡単ではありませんが、できないことでもありません。
家電製品のように同じものをどこで買うのかという場合には、価格比較だけでよいでしょう(厳密に言えば、アフターフォローなど加味される場合もありますが、ここではおいておきます)。葬儀の場合はどうでしょうか。スタッフの質(きめ細かい対応や心遣い、斎場の提案力)や施設の充実度なども比較したい要素になってくるのではないでしょうか。仮に同じお金を支払うなら、スタッフや設備がよいに越したことはありません。
先ほどは、価格比較するために、同じ条件が必要であると述べましたが、今度は、いろいろな要素を加味して比較したいので複雑さが増して、自分は何をより重視したいのかを整理したうえで、比較することが必要になってきます。
比較が難しいので、われわれの存在意義がある
それをまとめると、「葬儀の準備」の項目で解説した「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」という孫子の言葉にまとめることができると思います。それぞれの葬儀社の特徴・得意分野をよく見極め把握し(彼を知り)、どのような葬儀にしたいのかを整理できれば(己を知れば)、よい葬儀になる(百戦殆うからず)というわけです。ただ、これが簡単ではないところに、われわれ相談員の存在価値があるということになります。