1. あさがおのお葬式トップへ
  2. 葬儀一般
  3. 葬儀社の種類(選び方)

葬儀社の種類(選び方)

葬儀社をやるには許可や認可はまったく必要ありません。明日から誰でも始めることができます。それゆえ、葬儀社の数を正確に把握することは困難です。葬儀社の種類は、葬儀専門業者、互助会、JA、そのほか、で分けている例が多いようです。しかし、病院指定の葬儀社かどうか、斎場を持つ葬儀社かどうか、葬儀社の規模、という視点で整理したほうが有意義です。

病院指定の葬儀社とは、病院から自宅などへの搬送契約を結んでいる葬儀社のことです。それゆえ、搬送を頼んだからといって葬儀まで依頼する必要はありません。互助会の中に、経済産業大臣の許可を優良葬儀社の証しのようにPRしているところがあります。しかし、会員から積立金をとる営業方式を認められたものなので、 葬儀社のよしあしとは関係ありません。葬儀社の選び方は、あくまで、要望に合う葬儀社かどうかで見分けるのが大事です。

葬儀社に許認可はないので、誰でも明日から始められる

テレビなどで葬儀業界の裏事情でボッタクリの話などが取り上げられると、「行政監督はどうなっているのだ、もっとしっかりやれ」とテレビの前で怒っている人も中にはいると思います。しかし、それは叶わぬことです。なぜなら、葬儀社をやるのに行政庁による許認可は必要ないからです。明日から誰でも葬儀社を始めることができます。(もちろん、商法や刑法などの法律に触れれば罰せられることになりますが)

そうなので、特に都心部では、新しく葬儀社ができたり、消えていったり、他業種の企業が参入してきたり、撤退したり、出入りも激しくなっています。それゆえ、葬儀社の数を正確に把握するのも困難です。

下記は、2011年に行われた経済産業省の調査結果(葬祭及び葬祭関連サービスの実態に係るアンケート調査)です。NTTタウンページに掲載されている葬祭業者がアンケート対象になっています。「葬祭・葬祭関連サービスの事業開始時期」「直近3 年間における業界への新規参入事業者数の変化」「従業員数」で、 ざっくりとまとめますと、1990年以降事業を開始した葬祭業者が半数以上に達し、新規参入業者は最近でも増え続け、従業員も10人未満の小規模事業者が6割ほどを占めているという事になります。この調査は全国対象なので、おそらく都心部では、さらに流動性が高い結果になると思われます。

葬儀サービスの事業開始時期

葬儀業界への新規参入事業者数

葬儀会社の従業員数

公正取引委員会による「葬儀の取引に関する実態調査書」(2016年)の調査では、葬儀社の年間売上高について、「1億円超5億円以下」が 41.8%と最も多く、次いで「1億円以下」が20.6%、 「10億円超50億円以下」が16.4%、「50億円超」が5.2%、となっています。 そして、売上高が増加しているのが26.9%、減少しているのは50.0%、変わらないのは23.1%です。

葬儀の年間取扱件数については、「100件超500件以下」が50.5%と最も多く、次いで「100件以下」が19.8%、「500件超1000件以下」が16.1%です。そして、直近5事業年度の葬儀1件当たりの売上高の増減傾向については「増加している」が8.8%、「減少している」が79.0%、「変わっていない」が12.1%になっています。

これからも死亡人口は増え続け、儲かっている成長産業のように思われていますが、実際は、小規模な事業者が多く、苦戦を強いられている姿も垣間見られます。

こうした特長を持つ葬儀業界において、 葬儀社の分類も視点の取り方で、いかようにも分類できますが、一般的には、葬儀専門業者、互助会、JA・生協、そのほか、というように分けている例が多いようです。

一般的に用いられている葬儀社の種類

葬儀専門業者 〜大多数が小規模企業〜

葬儀社の中でもっとも割合が多いの専門業者です。総務省の調査によりますと、葬儀業を営んでいる企業の常用雇用数は10人未満の葬儀専門業者数は70%以上になっており、小規模企業が多いのが現状です。
なお、葬儀専門業者により構成された全国規模の団体として全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)があり、会員数は1372社(平成26年1月現在)になっています。

冠婚葬祭互助会 〜優良葬儀社の証ではない〜

互助会といわれているものです。互助会は、経済産業大臣より許可を受け、割賦販売法に定められた指定役務(この場合、葬儀サービス)の提供を目的とした前払い式特定取引業を営んでいる事業者のことです。
要するに、互助会は、会員が毎月掛け金を積み立てて、その積立金をもとに葬儀を施行してくれる葬儀社です。そして積立金の半分は、万一会社が倒産しても保全されます。
ここで注意が必要なのは、経済産業大臣の許可は、あくまで会員から積立金をとる営業方式を認めたものなので、 葬儀社のよしあしはまったく関係ないということです。大臣の許可を優良葬儀社の証しのように宣伝しているところもありますので、気をつけたほうがよいでしょう。
また、互助会と依頼者とのトラブルがいろいろ起きていることから、公正取引委員会は「葬儀サービスの取引実態に関する調査報告書」(2005年7月)の中で次のように指摘しています。

事業者における留意点 互助会加入契約時に、消費者に対して積立金完納後の割増サービス、解約の際に払い戻される積立金の額、互助会が倒産した場合の保全金額等の契約に関する諸条件について十分に説明する必要がある。

消費者における留意点 互助会加入契約を締結する際、その契約に関する諸条件の内容を十分に理解することが望ましい。

JA・生協 〜依頼窓口だけの場合も〜

JA・生協が窓口になり葬儀を受注しますが、葬儀専門業者と連携しており、多くの葬儀は専門業者によって行われているようです。ただ、独自にサービスを提供するところも中にはでてきています。

ちなみに、下記は、平成26年1月に報告された、(財)日本消費者協会の「葬儀についてのアンケート調査」(東京・神奈川・埼玉地域)結果です。

葬儀の依頼先

斎場を持つ葬儀社かどうか、病院指定の葬儀社かどうか

しかしながら、上記の分類で特徴を示しても、お役所的な整理の仕方としてはいいかもしれませんが、現実に葬儀を依頼する人の立場からすると、あまり切実な意味を持たないように思います。

というよりも、葬儀社の種類について調べている人は、実際は、「どのような葬儀社を選べばいいのか」の参考にしたいと思っているのではないでしょうか。
としますと、葬儀の準備をしない場合、病院でお亡くなリの後、真っ先に選択を迫られる病院指定の葬儀社を利用するかどうかは大きな分かれ目です。そして、斎場を持つ葬儀社かどうかや、葬儀社の規模という視点で整理したほうが有意義ですし、判断材料になるでしょう。
まず、ざっくりと、メリット・デメリットを概観してみましょう。

(病院指定業者)
  メリット・デメリット
利用するかどうか 現在、お亡くなりになる人の場所は8割が病院です。事前準備をしてなければ、病院の指定業者に、少なくとも、搬送は依頼する流れになるでしょう。病院にいる時間が少なくなるということはありますが、その業者がどういうところかはわからないので、“言われるがまま”にされてしまうリスクもあります。
(自社斎場の有無による分類)
  メリット デメリット
自社斎場あり ・自社斎場の提案もできる。
・公営斎場の待ち日数に比べ、それほど待ち日数がなく利用できる。
他の式場を提案してくれない場合もある。
自社斎場なし 公営斎場を含め、要望にあった斎場を提案してくれる可能性がある。 地域の斎場に精通してないところだと、利用頻度の高い公営斎場などを勧めるだけになってしまう。
(規模による分類)
  メリット デメリット
家族経営 ・費用は安い
・親しみがある対応
・地域社会に溶け込んでいる
・大規模葬には対応が難しい面もある。
・対応範囲が狭い。
・対応が洗練されてない場合もある。
中小規模会社 (従業員約5〜30人) ・家族経営のところと、大規模会社の良いところを取り入れられる。
・社によっては、費用とサービスのバランスがよいところもある。
様々な会社があり、特徴も千差万別なので、見極めが必要
大規模会社(互助会等) ・組織的対応ができる
・駅前などの便の良いところに、斎場を持っている場合が多い
・ネームバリューによる安心感がある。
・分業制で担当者が変わる場合が多い。
・親しみのある対応は求めにくい。

準備をしてないと、病院指定の葬儀社になる可能性が高い

上記3つの分類のうち、病院の指定葬儀社のことについて、選び方というよりも、選び方を考えてないと、病院の葬儀社になる可能性が高いということです。少し詳しく書いてみます。

厚生労働省の人口動態調査によれば、2017年における、お亡くなりになる人の場所を割合別で見ますと、病院が73.0%、診療所1.8%、介護保険施設2.5%、老人ホーム7.5%、自宅13.2%、その他2.1%になっています。施設内での死亡が85%ほどになります。

下記の図は、2011年に行われた経済産業省の調査結果で、葬儀の事前準備をどのようにしているのか、していないのかを示しています。準備中を含め、準備しているのは、5%にも達しません。ただ、これは自分自身の葬儀準備につい尋ねたものですので、家族が準備しているかまではわかりません。少し古く東京に絞られた資料になりますが、平成13年の東京都の調査「葬儀にかかわる費用等調査報告書」では、家族の葬儀のための事前準備しているのは、34%ほどになっています。

葬儀の準備の実態

いずれにしても、病院など施設でお亡くなりになるのが8割を超えていて、あまり葬儀の準備はしていない、これをあわせて考えるとどうなるでしょうか。これは、現実的に病院や施設指定の葬儀社を利用するかどうかが葬儀社の選択を考える大きなウエイトを占める可能性が高いということです。そのときになって、あわただしく自らが探すか、親戚や知人などから葬儀社を紹介されないと、こうした葬儀社に依頼せざるを得ないようになる、と言ってもいいでしょう。

話をわかりやすくするために病院指定の葬儀社を例にとりますが、実は、病院指定の葬儀社というのは、搬送契約を結んでいる葬儀社のことです。搬送というのは病室から霊安室、病院から自宅などへ遺体を運ぶことです。遺体を長く病院におくわけにはいかない(おきたくない)病院と、仕事を取りたい葬儀社の利害が一致して、病室から霊安室、病院から自宅などへの搬送契約を結んでいます。

ところが、病院指定の葬儀社はどこでもなれるわけではないのです。いろいろ条件があるわけです。例えば、早く病院から連れ出して欲しいわけですので、病院近くに営業所があり、○○分以内に二人で迎えにこられることなど、いろいろな条件があるわけです。
葬儀社側にすれば、営業所が近くになければ場所を確保しなければなりませんし、人も待機させておかないといけないわけですから当然コストもかかることになります。

指定業者の中には、病院に対し年間1000万円超、かつ、1遺体あたり数万円の金銭を提供しているものがあった」と公正取引委員会が「葬儀サービスの取引実態に関する調査報告書」(2005年7月)の中で指摘していますが、そうしたことがあることは否定できません。

いずれにしろ、病院指定の葬儀社になるためにはコストがかかるわけです。こうしたコスト構造が背景にあるため、搬送契約でありながら、強引に葬儀まで結び付けようとする営業になっているのです。搬送する立場を利用して強引に葬儀の営業をするな、ということです。

もちろん、病院指定の葬儀社が悪い業者と言ってるのではありません。こうした構造を知った上で、できれば、違う葬儀社と比べた上で、病院指定の葬儀社にするというのならば何の問題もないということです。

葬儀に関する情報がオープンになってきて、事前準備する人も徐々に多くなってきておりますので、病院指定の葬儀社に依頼する傾向は減少してきているようです。葬儀社もかつてのように何が何でも病院の指定になる、ということではなくて、直接、消費者に支持されるような活動や情報公開をしている葬儀社も増えてきております。消費者からすると非常にいい傾向です。

葬儀社選びは、要望に合うかどうかで判断する

葬儀社選択の重視点

葬儀社を選ぶにあたって、斎場を持つ葬儀社かどうかや、葬儀社の規模という視点で整理したほうが有意義で判断材料になるといったのは、葬儀社の特徴を知るための大事な要素だからです。
なぜ特徴を知ったほうがいいのかと言いますと、自分の要望に合う葬儀社かどうかを見極めるためです。

たとえば要望が、「会葬者が300人ぐらいで、交通の便がよくて、駐車場があり、設備がととのっている斎場で、地域の習俗もきっちり踏まえた仏式」であったり、「直葬を快くひきうけてくれるところ」という要望である場合、もちろん、それに対応できる葬儀社でなければなりません。
良い悪いではなく、それぞれの葬儀社には得意不得意があります。

もちろん、葬儀社の特徴は「斎場を持つかどうか」「会社の規模」だけではありません。例えば当センターでは、より正確に葬儀社の特徴と得意不得意を見極めるために、下記の5項目について把握しようと努めています。

葬儀社の特徴を知るための項目

1、規模
どれくらいの規模の葬儀が得意で、どんな実績があるか
2、宗教
どのような宗教の葬儀が得意で、どんな実績があるか
3−1、場所(エリア)
どのエリアでの施行が多いのか
3−2、場所(斎場)
具体的にどの斎場での施行の実績が多いのか
4、予算体系
どのような料金体系か
5、サービス提供能力と保有設備
社員の対応力、保有施設、設備内容、指定業者、加盟団体、経営方針、地域活動・・・

なぜ、5項目かと言いまと、ご相談者の要望を下記の5項目に分解して捉えているからです。それに照らし合わせて適切な葬儀社選びに役立てるためです。

ご相談者からの要望を5項目で整理

1、規模
主にどれくらいの規模の葬儀にするのか
直葬(火葬)、一日葬、市民葬儀、家族葬、こぢんまり葬、一般葬、大型葬
2、宗教
主にどんな宗教の葬儀にするのか
仏式、神式、キリスト教葬、友人葬、無宗教葬、音楽葬・・・
3−1、場所(エリア)
どのあたりで行うのか
板橋区、杉並区、横浜市、町田市、さいたま市、松戸市・・・
3−2、場所(斎場)
具体的にどの斎場で行うのか
駅から近い、設備が整っている、待ち日数がない、費用が安い、家族葬向け・・・
戸田葬祭場、堀ノ内斎場、横浜北部斎場、南多摩斎場、松戸市斎場・・・
4、予算
おおまかなイメージや具体的数字はあるか
最低限、相場並み、まずは気にせず他の項目優先・・・
5、サービス提供能力と保有設備
大まかなイメージはあるか
最低限、できることは自分たちでやる、余計なものはいらない、華美にならないように、きめ細かい対応、フォローを厚く・・・

葬儀社を選び方は、あくまで、要望に合う葬儀社かどうかで見分けるのが大事だと思っています。葬儀社の果たす役割と葬儀社選びが難しい理由