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葬儀の見積もり

葬儀費用は、大別すると、1葬儀基本費用、2車両費用、3火葬関係費用、4斎場費用、4返礼品費用し、4飲食費用、4お布施、です。細かいところに惑わされずに、まず大筋を抑えるようにするのがポイントです。葬儀社の提示する葬儀見積もりが上記のどこまで含んでいるものなのか、よく見極めます。「実費」や「立て替え」など、葬儀社が特有の言葉を使って内容をわかりづらくさせることがありますが、これも惑わされずに、結局、自分の財布からいくら支払う必要があるのかを見極めます。相見積もりをとったとしても、祭壇など各社によって内容が違うものは、紙面上だけの価格だけで単純に比較することはできません。事前準備の段階で葬儀社に概算の葬儀見積もりを出してもらうと、最低水準のものをまず提示し、他社よりも価格優位性があるように見せつけて契約させ、いざ詳細交渉に入ってから、それぞれの品目の価格ランクなどを上げていき、葬儀費用をつり上げるという方法を使う葬儀社も中にはあります。見積もりを取るタイミングについては、具体的な実際例を詳細しております サポート相談事例 の中の事前相談の事例がご参考になると思います。

事前見積もりと請求額はなぜ違うのか?

葬儀見積もりはいつ固定されるのかの図
いつ固定化されるのか
(画像クリックで拡大)

事前相談での見積もりと、葬儀施行後の請求額は同じにはなりません。何が違うのかを理解しておけば、いらぬトラブルに発展するようなことないでしょう。

複数の葬儀社から見積もりを取るとわかりますが、葬儀社によって見積書・請求書の書き方はバラバラです。まず、次の7つの項目に再編成してとらえるとわかりやすいです。
1葬儀基本費用、2車両費用、3火葬関係費用、4斎場費用、5返礼品費用、6飲食費用、7お布施

この中で事前の見積通りになる部分は一部です。より正確に言うと、この項目それぞれが、いつ固定化されるかを理解することが大事です。 これにより、事前の見積りで決められるのは、どこの部分なのかという理解にも役立ちます。

1、葬儀基本費用
事前見積もりで固定化できます。
2、車両費用
距離や車種によって変動します。各社車両の移動が完了した時点で固定化します。(ただ、実際の費用は変動しますが、葬儀社独自の価格設定をしている場合、事前見積もりで固定化できる場合もあります)
3、火葬・安置費用 4、斎場費用
場所や待機日数によって変動します。式場と火葬日が決定した時点で固定化します。
5、返礼品費用 6、飲食費用
人数や内容によって変動します。ご葬儀が終わった時点で固定化します。
7、お布施
葬儀社の紹介の場合は、事前見積もりで固定化できます。菩提寺さんの場合は一概には言えません。

上記は、時系列で固定化されていく流れをみました。細かく正確にということでなければ、下記のようにざっくりと理解するだけでも十分でしょう。
要するに、1基本費用と4斎場を決めてしまえば、あと、費用として大きく変動する可能性があるところは飲食と返礼品だけだということです。

葬儀の規模による見積もりの違い

葬儀見積もりの規模による違いの図
葬儀規模による違い
(画像クリックで拡大)

次に葬儀の規模による見積もりの違いについてです。規模というのは、会葬者数と捉えてもらえばよいでしょう。まず抑えておきたいのは、どのような葬儀の規模であろうが、最低限必要になるのが、1〜3だということです。つまり直葬(火葬のみ)でも必要です。1〜3だけなので、当然費用も抑えられることになります。

これを延長して考えていきますと、葬儀予算を抑えたいと考える場合、もっとも簡単な方法は会葬者数を絞るということになるでしょう。直葬(火葬のみ)や密葬、家族葬というようにです。
人数が少ないので、斎場も小さくてよいし、祭壇も小さくてよく、飲食返礼品も少なくなるからです。
ちなみに、その次に考えることは、各品目の単価を下げるということです。たとえば、飲食一人当たりの単価を下げるとかです。そして、最後に不要な品目を外すということです。
ただし、予算のことだけを考慮すればいいということではもちろんありません。葬儀は一回しかできない、取り返しがつかないことですし、様々な関係がありますから慎重に考えたほうがよいと思います。

逆に、会葬者が増えれば葬儀費用も増大することになります。飲食・返礼品はそのものずばり数量が変わってきます。そして、会場と祭壇も影響を受けます。たとえば、300人の会葬者で自宅でというのは、無理があります。それ相応の会場が用意されなければなりませんし、祭壇もそれにふさわしいものがよいと言えます。つまり、会葬者が増えれば予算が上がらざるを得ないということです(もちろんそれにともなって、香典収入も増えます)。

葬儀社と依頼者とでは、葬儀費用の捉え方が違う

上記の2つを理解できますと、下記のようなトラブルには起こらならないでしょう。
消費者は葬儀に関わるすべての費用を葬儀費用と思っています。一方、葬儀社は、葬儀費用を「葬儀基本費用」のこととして捉える傾向があります。これは、葬儀基本費用以外、葬儀社の大きな利益にならないので、自分の深く関与する領域だけを葬儀費用とするのです。そうすると、葬儀の総額のことを葬儀費用と思っている依頼者と、葬儀費用の理解に食い違いが起こってきます。

これが問題を起こすのです。葬儀社から葬儀費用は○○万円といわれたが、葬儀が終わってみたら3倍もかかったということも起こってくるのです。
消費者の意識を踏まえて説明ができない葬儀社は、サービス業としては失格と言わざるを得ないですが、この食い違いをよくわかっていて、逆に、利用する悪いところもあります。そういうところに引っかかってしまうと、先ほどの、3倍も・・・の話になってしまうのです。
(葬儀費用関連等で産経新聞の取材を受け、2008年9月23日付、「今から考える葬儀のこと(中)・わかりにくい費用と相場」で当センターが取り上げられています。記事はこちら
また、ネットでの転載は 今から考える葬儀のこと(中) です。)

悪意がなくても葬儀社の人は、「葬儀費用」のみならず、「実費」や「立て替え」といった、自分たちの論理から来る言葉を使います。ここで、このことの是非を問うてみても意味がありません。それよりも、依頼者が気をつけるべきことを覚えておいたほうが有意義です。それは、結局、自分の財布から、実際いくら支払う必要があるのかということを見極めることです。そして、それは7つの項目であるので、それを踏まえて葬儀社の提示する葬儀見積もりが何を含んでいるものなのかを見るということです。

セットでは葬儀はできない

葬儀基本費用で葬儀ができないのと同じように、 セットやプランだけでは葬儀はできません。ほとんどのセットやプランは、葬儀基本費用のなかの一部分にしか過ぎません。それゆえ、セットの中に何が含まれているのかよく確認することが大事です。各社によって違います。 

下記は、2011年に行われた経済産業省の調査結果(葬祭業者のサービス実態に関するアンケート調査)です。葬儀社がどのよう料金体系にしているかの割合を示しています。一番多いのが、「基本となるセットコース料金とオプションを複数用意している」になっています。

葬儀の料金体系

もともと、葬儀料金をわかりやすくするために、セット料金制やプラン制がよく用いられるようになってきたのですが、これも悪用するところが後をたちません。実際に、各社のホームページやチラシを見ると、セットを前面に出して、それだけで葬儀ができるのかと錯覚してしまうような表現が目立ちます。よく見ると、欄外に小さい文字で、「式場費、返礼品、飲食費、お布施は含まない」などと書いてあるのがわかると思います。 

商品・サービス単価を書いているところが良心的か?

マスコミなどの影響が大きいと思うのですが、単価がこと細かく書いてあるところが良心的、そう思いこんでいる人が多いと思います。逆に、一式やセットにいろいろなものを含めて、単価が書いてないところは信用できないと思われています。
しかし、これはそうとも言えません。なぜなら、葬儀社が単価をこと細かく書くことは次の2つの思惑もあるからです。

  • 消費者に透明性のあるいい会社だと思ってもらえる。
  • それによって葬儀費用を押し上げることができる。

そうです、単価がこと細かく書かれていても、それだけで信用してはいけません。大事なのは、何の項目にいくらと書いてあるのかということと、全体で見るということです。
これは、1社の葬儀見積もりを見ただけではわからないのですが、 例えば、3社の葬儀見積もりを見ることができるとして、他の社にないような項目に単価が書いてあり、全体として費用が高ければ、それは、葬儀費用を上げるために作り出した項目と言っていいでしょう。単純に安心などできないのです。

葬儀の見積もりの取り方

前のところで「3社の葬儀見積もりを見ることができるとして」と書きましたが、見積もりも取り方があり、とり方を間違えると、その社を真に表す見積もりは出てきません。当センターのサポート外の地域などで、見積もりを取る方もいらっしゃると思います。以下の2つがセンターが見積もりを取るときの大原則です。

  • 各社に同じ条件を伝える。
  • 提示された見積もりは他の社に見せない。

1の条件は、「お申込/葬儀相談」の項で触れた5つの事項です。この事項が整理されていればいるほど正確な見積もりが出てきます。2の他社に見せないというのは、見せれば、見せられた社はそれよりも低い見積もりを出してくるので、見積もりを取る意味がなくなってしまうからです。
(週刊エコノミスト、2010年9月21日号「葬式と墓」特集号の中の「葬儀社選びはこうする」において、当センターの見積もりの取り方のアドバイスおよび賛同葬儀社の実際の見積もり例が取り上げられています。記事はこちら

複数の見積もりを見比べるのは難しい

これまで述べてきたことを念頭におけば、総額を把握することはそれほど難しいことではありません。これさえ抑えておけば、当初思っていた費用と桁違いな出費をしなければならなかったというような事態になることは防げます。
しかし、複数の葬儀見積もりを見比べて適切な判断を下すのは、総額を把握するのとは比較にならないほど難しい作業です。本当に正確に見比べるためには、突き詰めると各葬儀社の儲けの仕組みそのものを知る必要があります。
しかし、これをご相談者に望むのは無理でしょう。そうなので、ここではそう難しくなく、7、8割がた正しく見比べる方法を説明します。

それは、総額を把握するときに「実費」や「立替」という葬儀社の都合からくる言葉に惑わされてはいけないと書きましたが、複数の葬儀見積もりを見比べるには、この「実費」「立替」ということをよく理解しておく必要があります。「実費」「立替」とは、葬儀社が手配をしているものです。なので、依頼者が支払ったお金は葬儀社には入らず、手配した先に入るものです(正確に言うとバックマージンが発生するのですが、その話をするとややこしくなるので触れません)。だから実費とか立替という言葉が使われます。具体的には飲食費であり返礼品であり式場費であり火葬料というようなものです。

この実費という存在を浮き彫りにするとある程度比較ができます。つまり、実費を取り去ったものが、葬儀社独自の商品とサービス部分なので、その金額と内容を見比べれば、各葬儀社を見比べるということになるのです。あくまで金額と内容を見比べることが大事です。金額だけ見比べても意味がありません。たとえば、2社見比べたとして、代表的な独自サービスである祭壇費で30万円と50万円では金額は違いますが、それに応じて内容も違います。これでは比べていることにはなりません。比べるのならば、同じ30万円で内容がどう違うのかということを見比べでないといけないわけです。

これまで、葬儀費用を見るときの整理のしかたを7項目で説明してきましたが、実は、実費を取り除いたものというのは、ざっくりいうと「1葬儀基本費用」がこれにあたります。それゆえ、この項目を見比べるのが一番簡単な比較の仕方になります。

ただ、実費のところを見比べられますと、さらに正確な比較ができることも確かです。実費には式場費や火葬料など金額が決まったものと、飲食や返礼品のように人数によって変わるものがあります。たとえば、式場費を見比べて、他の社より高いところがあれば、それは、実費といいながら料金を水増しするところだということがわかります。変動するところは、想定している人数と内容をよく見比べることです。これにより金額が全然違ってきます。葬儀費用総額で見比べたら、安かったけれどもその安さの原因が飲食費・返礼品で人数を少なく、しかも単価が最低で見積もっていたということもありえます。

いずれにしましても、紙面上の数字だけにとらわれずに、内容を理解しようとする意識を持っていてデメリットはないと思います。

見積もりを取るタイミングについては、具体的な実際例を詳細しております サポート相談事例 の中の事前相談の事例がご参考になると思います。