
テレビなどで葬儀業界の裏事情でボッタクリの話などが取り上げられると、「行政監督はどうなっているのだ、もっとしっかりやれ」とテレビの前で怒っている人も中にはいると思います。しかし、それは叶わぬことです。なぜなら、葬儀社をやるのに行政庁による許認可は必要ないからです。明日から誰でも葬儀社を始めることができます。(もちろん、商法や刑法などの法律に触れれば罰せられることになりますが)
そうなので、特に都心部では、新しく葬儀社ができたり、消えていったり、他業種の企業が参入してきたり、撤退したり、出入りも激しくなっています。それゆえ、葬儀社の数を正確に把握するのも困難です。
このような状況において、 葬儀社の分類も視点の取り方で、いかようにも分類できますが、一般的には、葬儀専門業者、互助会、JA、そのほか、というように分けている例が多いようです。しかしながら、この分類で特徴を示しても、お役所的な整理の仕方としてはいいかもしれませんが、現実に葬儀を依頼する人の立場からすると、あまり切実な意味をもちません。
依頼するほうからすると、斎場を持つ葬儀社かどうかや、病院の指定の葬儀社かどうか、という視点で整理したほうが有意義ですし、判断材料になるでしょう。斎場を持つ葬儀社の位置づけについては「斎場の種類」ページで説明していますので、ここでは、まず最初に、病院の指定葬儀社か否かで整理し、その後、一般的な葬儀社の分類について説明していきます。
東京都が平成13年に調べたアンケート調査によれば、お亡くなりになる人の場所は82%が病院です。また、家族の葬儀のための事前準備をしていない人が64%に達しています。これをあわせて考えるとどうなるでしょうか。これは、現実的に病院指定の葬儀社を利用するかどうかが葬儀社の選択を考える大きなウエイトを占めるということです。そのときになって、あわただしく自らが探すか、親戚や知人などから葬儀社を紹介されないと、病院の葬儀社に依頼せざるを得ないようになる、と言ってもいいでしょう。
実は、病院指定の葬儀社というのは、搬送契約を結んでいる葬儀社のことです。搬送というのは病院から自宅などへ遺体を運ぶことです。遺体を長く病院におくわけにはいかない(おきたくない)病院と、仕事を取りたい葬儀社の利害が一致して、病院から自宅などへの搬送契約を結んでいます。
ところが、病院指定の葬儀社はどこでもなれるわけではないのです。いろいろ条件があるわけです。例えば、早く病院から連れ出して欲しいわけですので、病院近くに営業所があり、○○分以内に二人で迎えにこられることなど、いろいろな条件があるわけです。
葬儀社側にすれば、営業所が近くになければ場所を確保しなければなりませんし、人も待機させておかないといけないわけですから当然コストもかかることになります。
公立の病院などは、条件を満たした業者の中から抽選をしたりしていますが、私立の病院は、諸条件に加え何らかの理由でもって葬儀社が決まります。「指定業者の中には、病院に対し年間1000万円超、かつ、1遺体あたり数万円の金銭を提供しているものがあった」と公正取引委員会が「葬儀サービスの取引実態に関する調査報告書」(2005年7月)の中で指摘していますが、そうしたことがあることは否定できません。
いずれにしろ、病院指定の葬儀社になるためにはコストがかかるわけです。こうしたコスト構造が背景にあるため、搬送契約でありながら、強引に葬儀まで結び付けようとする営業になっているのです。
これに対し、公正取引委員会の前掲の報告書の中で、「遺体搬送サービスと併せて、その後の葬儀サービスについても、当該遺体を霊安室に引き留め、説得するなどして、自己との取引を強制的に促すといった事例がみられた。こうした行為は消費者の自主的なサービス選択の自由を侵害し、不公正な取引方法(抱き合わせ販売等)として独占禁止法上問題となる恐れもあることから、事業者はこうした行為を行わないようにすべきである」と注意しています。要するに、搬送する立場を利用して強引に葬儀の営業をするな、ということです。
もちろん、病院指定の葬儀社が悪い業者と言ってるのではありません。こうした構造を知った上で、できれば、違う葬儀社と比べた上で、病院指定の葬儀社にするというのならば何の問題もないということです。
葬儀に関する情報がオープンになってきて、事前準備する人も徐々に多くなってきておりますので、病院指定の葬儀社に依頼する傾向は減少してきているようです。葬儀社もかつてのように何が何でも病院の指定になる、ということではなくて、直接、消費者に支持されるような活動や情報公開をしている葬儀社も増えてきております。消費者からすると非常にいい傾向です。
葬儀社の中でもっとも割合が多いの専門業者です。総務省の調査によりますと、葬儀業を営んでいる企業の常用雇用数は10人未満の葬儀専門業者数は70%以上になっており、小規模企業が多いのが現状です。
なお、葬儀専門業者により構成された全国規模の団体として全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)があり、会員数は1522店舗(17年4月1日現在)になっています。
互助会といわれているものです。互助会は、経済産業大臣より許可を受け、割賦販売法に定められた指定役務(この場合、葬儀サービス)の提供を目的とした前払い式特定取引業を営んでいる事業者のことです。
要するに、互助会は、会員が毎月掛け金を積み立てて、その積立金をもとに葬儀を施行してくれる葬儀社です。そして積立金の半分は、万一会社が倒産しても保全されます。
ここで注意が必要なのは、経済産業大臣の許可は、あくまで会員から積立金をとる営業方式を認めたものなので、 葬儀社のよしあしはまったく関係ないということです。大臣の許可を優良葬儀社の証しのように宣伝しているところもありますので、気をつけたほうがよいでしょう。
また、互助会と依頼者とのトラブルがいろいろ起きていることから、公正取引委員会は「葬儀サービスの取引実態に関する調査報告書」(2005年7月)の中で次のように指摘しています。
事業者における留意点 互助会加入契約時に、消費者に対して積立金完納後の割増サービス、解約の際に払い戻される積立金の額、互助会が倒産した場合の保全金額等の契約に関する諸条件について十分に説明する必要がある。
消費者における留意点 互助会加入契約を締結する際、その契約に関する諸条件の内容を十分に理解することが望ましい。
JAが窓口になり葬儀を受注しますが、葬儀専門業者と連携しており、多くの葬儀は専門業者によって行われているようです。ただ、独自にサービスを提供するところも中にはでてきています。
そのほか、生協やホテル、広告会社などが新規事業として参入している例もあります。
よい葬儀にするためには5つの重要事項(1場所、2規模、3予算、4内容、5日程)の整理と、その優先順位の整理が必要です。それゆえ、葬儀社選びは、その整理を踏まえて、適切なところを選ぶということにつきます。葬儀社の種類はさほど関係ありません。仮に優良葬儀社だとしても要望に合わないところだと意味がありません。詳しくは「葬儀の準備」をご覧下さい。