
一般的な仏式葬儀の例ですが、上記の7つの項目(内容については、「葬儀費用例」の項をご覧下さい)で葬儀の総予算になります。紛らわしい表現の葬儀一式とは区別しないといけません。葬儀一式とは、上記の1〜4までの項目のことを指して使いますので、葬儀一式では葬儀はできませんので気をつける必要があります。
葬儀社は、葬儀費用を「葬儀一式」のこととして捉える傾向があります。これは、葬儀一式以外、葬儀社の利益にならないので、自分の深く関与する領域だけを葬儀費用とするのです。そうすると、葬儀の総額のことを葬儀費用と思っている依頼者と、葬儀費用の理解に食い違いが起こってきます。
これが問題を起こすのです。葬儀社から葬儀費用は○○万円といわれたが、葬儀が終わってみたら3倍もかかったということも起こってくるのです。
消費者の意識を踏まえて説明ができない葬儀社は、サービス業としては失格と言わざるを得ないですが、この食い違いをよくわかっていて、逆に、利用する悪いところもあります。そういうところに引っかかってしまうと、先ほどの、3倍も・・・の話になってしまうのです。
(葬儀費用関連等で産経新聞の取材を受け、2008年9月23日付、「今から考える葬儀のこと(中)・わかりにくい費用と相場」で当センターが取り上げられています。記事はこちら
また、ネットでの転載は 今から考える葬儀のこと(中) です。)
悪意がなくても葬儀社の人は、「葬儀費用」のみならず、「実費」や「立て替え」といった、自分たちの論理から来る言葉を使います。ここで、このことの是非を問うてみても意味がありません。それよりも、依頼者が気をつけるべきことを覚えておいたほうが有意義です。それは、結局、自分の財布から、実際いくら支払う必要があるのかということを見極めることです。そして、それは7つの項目であるので、それを踏まえて葬儀社の提示する葬儀見積もりが何を含んでいるものなのかを見るということです。
葬儀一式で葬儀ができないのと同じように、 セットやプランだけでは葬儀はできません。ほとんどのセットやプランは、葬儀一式のなかの一部分にしか過ぎません。それゆえ、セットの中に何が含まれているのかよく確認することが大事です。各社によって違います。 もともと、葬儀料金をわかりやすくするために、セット料金制やプラン制がよく用いられるようになってきたのですが、これも悪用するところが後をたちません。実際に、各社のホームページやチラシを見ると、セットを前面に出して、それだけで葬儀ができるのかと錯覚してしまうような表現が目立ちます。よく見ると、欄外に小さい文字で、「式場費、返礼品、飲食費、お布施は含まない」などと書いてあるのがわかると思います。
マスコミなどの影響が大きいと思うのですが、単価がこと細かく書いてあるところが良心的、そう思いこんでいる人が多いと思います。逆に、一式やセットにいろいろなものを含めて、単価が書いてないところは信用できないと思われています。
しかし、これはそうとも言えません。なぜなら、葬儀社が単価をこと細かく書くことは次の2つの思惑があるからです。
1、消費者に透明性のあるいい会社だと思ってもらえる。
2、それによって葬儀費用を押し上げることができる。
そうです、単価がこと細かく書かれていても、それだけで信用してはいけません。大事なのは、何の項目にいくらと書いてあるのかということと、全体で見るということです。
これは、1社の葬儀見積もりを見ただけではわからないのですが、 例えば、3社の葬儀見積もりを見ることができるとして、他の社にないような項目に単価が書いてあり、全体として費用が高ければ、それは、葬儀費用を上げるために作り出した項目と言っていいでしょう。単純に安心などできないのです。
前のところで「3社の葬儀見積もりを見ることができるとして」と書きましたが、見積もりも取り方があり、とり方を間違えると、その社を真に表す見積もりは出てきません。当センターのサポート外の地域などで、見積もりを取る方もいらっしゃると思います。以下の3つがセンターが見積もりを取るときの原則です。
1、各社に同じ条件を伝える。
2、複数の社に見積もりを依頼していることを伝える。
3、提示された見積もりは他の社に見せない。
1の条件は、「お申込/葬儀相談」の項で触れた5つの重要事項です。この重要事項が整理されていればいるほど正確な見積もりが出てきます。3の他社に見せないというのは、見せれば、見せられた社はそれよりも低い見積もりを出してくるので、見積もりを取る意味がなくなってしまうからです。
(週刊エコノミスト、2010年9月21日号「葬式と墓」特集号の中の「葬儀社選びはこうする」において、当センターの見積もりの取り方のアドバイスおよび賛同葬儀社の実際の見積もり例が取り上げられています。記事はこちら)
これまで述べてきたことを念頭におけば、総額を把握することはそれほど難しいことではありません。これさえ抑えておけば、当初思っていた費用と桁違いな出費をしなければならなかったというような事態になることは防げます。
しかし、複数の葬儀見積もりを見比べて適切な判断を下すのは、総額を把握するのとは比較にならないほど難しい作業です。本当に正確に見比べるためには、突き詰めると各葬儀社の儲けの仕組みそのものを知る必要があります。
しかし、これを依頼者に望むのは無理でしょう。そうなので、ここではそう難しくなく、7、8割がた正しく見比べる方法を説明します。
それは、総額を把握するときに「実費」や「立替」という葬儀社の都合からくる言葉に惑わされてはいけないと書きましたが、複数の葬儀見積もりを見比べるには、この「実費」「立替」ということをよく理解しておく必要があります。「実費」「立替」とは、葬儀社が手配をしているものです。なので、依頼者が支払ったお金は葬儀社には入らず、手配した先に入るものです(正確に言うとバックマージンが発生するのですが、その話をするとややこしくなるので触れません)。だから実費とか立替という言葉が使われます。具体的には飲食費であり返礼品であり式場費であり火葬料というようなものです。
この実費という存在を浮き彫りにするとある程度比較ができます。つまり、実費を取り去ったものが、葬儀社独自の商品とサービス部分なので、その金額と内容を見比べれば、各葬儀社を見比べるということになるのです。あくまで金額と内容を見比べることが大事です。金額だけ見比べても意味がありません。たとえば、2社見比べたとして、代表的な独自サービスである祭壇費で30万円と50万円では金額は違いますが、それに応じて内容も違います。これでは比べていることにはなりません。比べるのならば、同じ30万円で内容がどう違うのかということを見比べでないといけないわけです。
ところで、「葬儀費用例」のところで、葬儀費用を見るときの整理のしかたを説明していますが、実は、実費を取り除いたものというのは、葬儀一式の中の「葬儀基本費用」がこれにあたります。それゆえ、この項目を見比べるのが一番簡単な比較の仕方になります。
また、実費のところを見比べることも大事です。実費には式場費や火葬料など金額が決まったものと、飲食や返礼品のように人数によって変わるものがあります。たとえば、式場費を見比べて、他の社より高いところがあれば、それは、実費といいながら料金を水増しするところだということがわかります。変動するところは、想定している人数と内容をよく見比べることです。これにより金額が全然違ってきます。葬儀費用総額で見比べたら、安かったけれどもその安さの原因が飲食で人数を少なく見積もっていたということもありえます。
これまで述べてきた葬儀費用を7つの項目で理解しておけば、一つ一つを積み上げていって総予算がいくらかかるか予測することができますし、逆に、総予算が決まっているならば、そこから逆算して、それぞれの項目への予算配分を決めることもできます。
さて、このような基本事項を抑えたうえで、覚えておいたほうがよいことを最後に説明してみましょう。 それは、会葬者数によって強く影響をうけるところがどこかを深く理解しておくということです。飲食・返礼品はそのものずばり数量が変わってきます。そして、会場と祭壇も影響を受けます。たとえば、300人の会葬者で自宅でというのは、無理があります。それ相応の会場が用意されなければなりませんし、祭壇もそれにふさわしいものがよいと言えます。つまり、会葬者が増えれば予算が上がらざるを得ないということです(もちろんそれにともなって、香典収入も増えます)。
付け加えますと、そうなると逆に、たとえば、葬儀予算を抑えたいと考える場合、もっとも簡単な方法は会葬者数を絞るということになります。火葬儀や密葬、家族葬というように。その次に考えることは、各品目の単価を下げるということです。たとえば、飲食一人当たりの単価を下げるとか。そして、最後に不要な品目を外すということです。ただし、予算のことだけを考慮すればいいということではもちろんありません。葬儀は一回しかできない、取り返しがつかないことですし、様々な関係がありますから慎重に考えたほうがよいと思います。
ともあれ、葬儀費用の固定費と変動費という側面から見たとき、こう整理しておくといいでしょう。ある程度会葬者を想定して、式場と祭壇を決めてしまえば、あと、費用として変動する可能性があるところは飲食と返礼品だけだということです。なので、見積もりと請求書のチェックの仕方は、飲食と返礼品だけが、費用として変動しているかを見るということです。
センターでの実際のものがどれくらいになるかは、「葬儀費用例」の項目をご覧下さい。